2000.6.18 72E 犬塚 操夫

[タイ出張]

郷にいれば、郷に従え!

私が学生だった20数年前に比べますと、世界は実に狭くなりました。
ESSの総会等で諸先輩からの話を伺いますと、現在、本当に多くの日本人
が外国で仕事をしており、そこで現地の人たちといっしょになって仕事をし
ているのだ、という事を実感させられます。

私の場合も、1998年の正月に初めてタイに出張してからすでに4回も
同じ所を訪れています。私は、たまたまESSで英語を勉強していたお陰で、
現地のスタッフとのコミュニケーションで困った、という状況には幸い陥り
ませんでしたが、それでも仕事が終わった後、いつも何か物足りなさを感じ
ていました。なぜかといいますと、頭の片隅に「英語が話せれば良し。」で
良いのだろうか、英語が話せれば相手の信頼を得る事ができるのだろうか、
という疑問がいつもありました。
それで、今年の正月の出張の前に、相手との心のこもったコミュニケーション
を計るための第一歩は何だろうかという事を考えてみました。

皆さんは、何だと思いますか。より詳しい仕事の知識でしょうか。日本の
文化を勉強する事でしょうか。結局考えた末に至ったた結論は、
このことわざでした、−「郷にいれば、郷に従え」。
そして、このことわざを実践する一つの手段として、「タイ語をマスターする。」
という目標を立てました。実はこの結論に達したのは、このアイデアが
浮かんだ時に、この事を何かの会の帰りに地下鉄の中で、マクセルに務めて
みえます神野氏に話しましたところ、たいへん感心をして頂いたのが
きっかけでした。

早速、図書館にタイ語のテープを探しに行き、その中で
「美しいバンコク標準発音。すぐに話せます。」
というタイトルが入ったテープが一番手頃でしたので、それを借りてきて、
会社への行き帰りは必ず聞いていました。その結果、英語に勝とも劣らない
ほど(???)自信がつきました。

そして、ついに私の実力を試す時がやってきました。マネージャー
(英語の喋れる人)とオペレータ(英語は喋れない人)の前で、ドキドキ
しながら最高の笑顔で、立て板に水を流すように、こう言いました。
「インディ、ヒダイ、フルタ」(意味:あなたに会えてうれしいです。)。
そして、当然同じ言葉が返ってくる事を予想していました。がしかし、二人
ともキョトンとしているだけで、どうも様子が変でしたので、もう一度繰り
返してみました。しかし、どうも伝わってないようで、今度は、テープの
スピードで話し掛けてみました。すると、マネージャーが笑顔で
「Nice to meet you.」とタイ語で言っているですか、と言われ、
やっとの思いで通じました。しかし、彼が言うには、私の発音が間違いで、
正しい発音は、「インディ ティダイ ルチャ」と言うそうで、少々驚きました。
それで、彼に、私はバンコク標準語をテープで勉強したという事を説明した
ところ、そのテープは標準語ではないと、言われてしまいました。地元の人
にこのように言われてしまえば何の反論もできません。しかしこの事がきっかけ
となり、昼休みには時々タイ語を教えてもらう事ができました。また、その後、
彼とは仕事だけの繋がりではなく、プライベートの事も話せる関係を築く事が
できました。

一方、英語の話せないオペレータは、変な発音でタイ語を話す私になぜか
好感を示し、いっしょに行った同僚より私に機械についてよく聞きに来ました。
私は、彼の信頼できる仲間の一人に加えてもらえたのではないかと思っています。

私は、この経験を通して外国にいる時には、「郷にいれば、郷に従え」と
いうことわざを実践する事が、コミュニケーションの第一歩だという事を実感
しました。すなわち、異なった文化圏の人々と心を通じ合えるためのアイス
ブレークであり、このレベルを乗り越えたなら、彼らとより楽しい機会を過
ごしたり、未知の文化により触れる事ができるからです。もし、これから外国
行かれる機会がある方は、あなたなりの方法で、このことわざの実践されたら
いかがでしょうか。きっとすばらしい世界が目の前に広がると思います。

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[タイ出張]

こんにちは

1月23日から30日までタイに出張してきました。
休日は、1日もなく、また客先の工事の不手際で、かなり日程がきつくなり、
仕事はたいへんでした。しかし、もう一つの私事(しごと?)はきわめて好調でした。

今回は、大学時代にスポークン・アメリカン・イングリッシュを勉強したように、
タイ語の会話テープを使って、いくつかの表現を完璧(自己満足です。)
に覚えました。

さて、本来なら、言葉が上手く相手に通じて楽しかった、
という報告をするはずだったんですが、
実は、なぜか通じなかったのでした。どうも、発音が微妙に違ったみたいで、
正しい発音の仕方を習ってきました。それが縁で、タイ語会話の先生の友達
ができました。

もし、タイのような英語を母国語としない国を行く機会がある方は、
自信がなくても、笑顔で大きな声で、その国の母国語を
口から出してみてください。
きっと、すばらしい事があなたに訪れると思いますよ。
                                犬塚 操夫

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会員の皆様 こんにちは

私は、去年、試験機の据え付け、試運転および引き渡しでタイへ2回出張しまし

た。そこで、はじめて行った時の感想をお話したいと思います。

皆さんもご承知のように、日本はタイに、直接の資金援助、道路等のインフラの

整備、工場の建設という形で、貢献をしています。これらは、いわゆる「ハードウエ

ア」の貢献と呼んでいいのではないかと思います。それに対して、私の仕事は、試験

機の試運転調整と取り扱い説明ですので、ハードに対して「ソフトウエア」の貢献を

してきたのではないかと思います。

さて、私が行きました会社の名前は、「SIAM COMPRESSOR INDUSTRY CO.,LTD」とい

い、三菱電機 静岡製作所の出資で、ルームエアコンや家庭用冷蔵庫のコンプレッサ

の製作を目的として、約10年前に設立されました。

仕事の初日の朝、商社の方から工場の従業員といっしょに体操をしましょうと言

われました。それで、彼の後をついて広場に行ったところ、全従業員(約200人?

)が整列し、彼らの前に社長と副社長が、向き合って立っていました。そして、しば

らくして流れてきた音楽は、驚く事なかれ、子供のころに慣れ親しんだ、あのなつか

しい「ラジオ体操」だったんです。

このメロディは、一時的にも、自分がタイにいることを忘れさせてくれたのと同

時に、若いころにタイムスリップさせてくれるのに十分でした。

ただ、正直なところ、体操を始める前はできるかどうか自信がありませんでした。

しかし、体は覚えており、このメロディは、私の手足を長い眠りから目覚めさせ、

楽しく体操ができ、結局滞在中、体の調子はすこぶる快調でした。

 

一方現地の人はどうかというと、やらされているという雰囲気は、全く感じられ

ませんでした。彼らの体操の面白い例として、 エネルギーを消耗するジャンプは

無理して飛ばない。

最後の深呼吸のところは、1回で止める。その内半分ぐらいの人が拍手をし

て 体操を止める。(拍手をする理由は不明です。あしからず。)

そして、社長と副社長は、体操を終えて、従業員が工場内に消えていくのを、体操を

した場所で立って見送ります。普通は、逆のように思うのですが。いい光景だと思い

ませんか。

このように、現地の人には馴染みのなかったラジオ体操というソフトを導入し、

従業員の健康管理を行っていることは、すばらしいアイデアであると思います。そし

て、彼らの遠い将来の健康を考えた時、体操を取り入れていない会社に勤めている人

と比べて、彼らは、毎日老後に備えて、健康という無形の貯蓄をしている事になるの

ではないかと思います。

タイへの出張を通して、これからの日本が目指す貢献は、一部の人が恩恵を受けるも

のではなく、「ラジオ体操」のようにだれもが恩恵を受けるものでなくてはならない

、という事を実感して帰ってきました。

以上

卒業年度 50E 犬塚 操夫