《旅はファジー》             梅田喜代一

 順次Episode追加しております 最新NO.122(2月2日)追加

 English Version is here.

Episode 122〜Fabriqué au Japon

国内で長いこと親しまれてきた松下電器の『ナショナル』ブランドが消えて
『パナソニック』に統一されるそうです。

そう言えば、1975年に初めてアメリカに渡ったとき
当地でソニーや東芝、三洋といった製品は見掛けるのに
どうして『ナショナル』がないのだろうと不思議に思ったものです。

欧米では当初からPanasonicの名で知られていたようですが
日産自動車も同様にDATSUNの名が使われていました。
ただ東洋の香港や台湾ではNISSAN
そしてNationalブランドを見ることができて
広告板に『國際機』と標記されていたのが印象的です。

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の中で
1955年のドクが、故障したデロリアンを調べ呟きます。
「とんでもない、こんな重要な部分に日本のガラクタ品など使うとは。」
すると1985年からやって来たマーティは
「ドクなに言ってんだ、日本製ほど良いものないよ。」と返しますが
「そんなことってありえるのか!」
ドクがそのように驚くシーンがあります。

かつて、カナダで道を尋ねようと車を止めて
年配のおじさんを覗き込むと
「日本人かね?
わしはCanonのカメラを使っているが非常に調子が良い。」
「今それは関係ないだろうが。」
とは思ったもののいささか嬉しいものです。

1976年パリ滞在当時私は音楽を聴くために
カセットデッキがほしくて
家電ショップへ観に行ったことがあります。
ところがカナダでは手軽に買えたはずの日本製品が
結構高価な値段を付けていました。
そこでやむなく安かった韓国製を購入して
下宿に帰った次第です。

アメリカでヒッチハイクをしていたときには
私が着けていたシチズンの腕時計に気付いた若い女の子が
「それ日本製?チョッと見せて。」
腕から外して渡すと
宝石でも観るような目で眺めていました。
もっともそんな高価な時計ではありませんでしたが。

それでもパリのみやげ物店では
日本製と供に陳列されているスイス製の時計を
買う日本人旅行者も少なくありません。
「スイスでならともかく、どうしてここでそんな時計を買うの?」
とあるご婦人に問い詰めたわけであります。
だが、このようなことを言っている私自身もずっと
スイス製の時計を着けているのです。

それはともかく今や日本ブランドは世界中で定着して
知らない人がいないほどでしょう。

ちなみにフランス語ではHを発音しないので
HONDAは「オンダ」と言い
HITACHIは「イタチ」になってしまいます。